マイクロプラスチックと脱プラ

当サイトで何度か取り上げている海洋汚染・海洋プラスチック問題。
それらを調べていく中で必ず出てくるのが「マイクロプラスチック」。
今回はそのマイクロプラスチックについて掘り下げていきます。

まずマイクロプラスチックとはなんなのか。
言葉だけで聞くととても小さなプラスチック、ということはわかりますが具体的にはどういうものなのか。

マイクロプラスチックは、プラスチックゴミが自然や海の環境の中で分解されず、劣化し、大きさが5mm以下の破片にまでバラバラに砕けたものをさします。
たった一つのペットボトルでも、ここまで細かくなって海や自然に散布してしまうと、回収はとても難しくなります。

そしてこれらはただ小さいだけというわけではなく、砕けて割れて欠けて傷ついてを繰り返し、表面がボコボコに凹凸しています。
凹凸した表面には様々な汚染物質が付着していき、そのまま漂い続けます。

そうして汚染されたマイクロプラスチックがどうなるか。
魚などの海洋生物が餌と間違って食べてしまい、汚染物質が魚の体内に汚染物質が蓄積。
蓄積された汚染物質やプラスチックが原因で生き物が死んでしまったり、またそのような魚が巡り巡って私たちの食卓へ並ぶのです。

マイクロプラスチックの影響というのは海に限ったことではなく、私たちの周りの土壌や空気中にも漂っているとされ、ごく微小なプラスチックが人間の体内に侵入しているとされています。

では「脱プラ」のためにプラスチックを0にすればいいのかというと、そうではありません。
そもそも脱プラスチック=Noプラスチックというわけではありません。

プラスチックというものはそもそも、二次世界大戦後に金属や資材が不足していたことから、安価で大量生産が可能な素材ということで普及し、その利便性から世界中に拡大していったとされています。

プラスチックは石油を原材料とし、リサイクルするにも対象のエネルギーを消費し、CO2を排出してしまうことから環境汚染と切っても切れない関係にありますが、今の人間の生活の中でも医療や食品といった衛生面が重要視される分野ではプラスチックを削減することが難しいとされています。
そうした必須のプラスチック以外の、それこそペットボトルといった容器や過剰包装のパッケージなど、私たちが日常生活する上でプラスチックでなくても多少融通の利くものを別素材に置き換えていく、これが脱プラになります。

またプラスチックの中でも生物由来の原料からでき、土に埋めても分解される「バイオマスプラスチック」、条件付きではありますが自然に分解される「生分解性プラスチック」といった環境にやさしいプラスチックも少しずつではありますが普及してきています。

しかし現状として、今プラスチックでできているものをそれ以外の素材に置き換えることは、生産コスト・販売価格の上昇、利便性の低下等は避けて通れません。
もちろんプラスチック以外で環境に優しい安価な素材が普及する、というのが理想的ではありますが、それでも良いと思えること、脱プラの選択をすることが普及すれば、より良い社会の実現に近づきます。

最近では似た意味を持つ「ノープラスチック」「プラスチックフリー」という言葉も広まりつつありますが、どのような考え方にしても、私たちができることをできる範囲でということに変わりはありません。
なるべくプラスチック製品ではなく、自然に優しい素材を選ぶこと、これが結果的には人間の生活の質や環境の向上につながっていきます。

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