Vol.11-1「生物多様性と3つの多様性」

数ヶ月ぶりのSDGs会議、本日のテーマは「生物多様性」。
言葉だけなら聞いたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな生物多様性についてを、今回と次回の2回に分けて記事でご紹介します。

この生物多様性は、私たちの生活が成り立つ上で必要不可欠なとても重要なものです。
生物多様性とは、「様々な特徴を持った多くの生き物が、様々な環境でお互いの個性を生かし、調和していること」を意味します。さらに噛み砕いて言えば、たくさんの生き物がいる環境が良いということです。

ではなぜ生物多様性が大切なのか。
それを説明する上で生物多様性を分類する「生態系・種・遺伝子」の「3つの多様性」があります。
今回は「生態系の多様性」「種の多様性」についてをまとめていきます。

まず1つ目の「生態系の多様性」。
例を挙げると、植物は様々な生き物の住む場所となりエサとなり、植物を食べた昆虫や鳥はより大きな生き物のエサとなり、生き物は植物の種子や花粉を運んで森を増やし、排泄した糞や死骸は微生物に分解され、植物の栄養となり…といった食物連鎖や共生関係の調和が生態系と呼ばれます。
上記のように、生き物の共生関係とは決して一方通行ではなく、互いに支えあって成り立っているのです。
これは地球の歴史の中で環境に適応してきた生き物の進化であり、知恵であり、絶妙なバランスが保たれています。
しかし生態系に含まれる要素の1つでも欠けてしまうとその他の全てに少なからず影響が出てしまい、生態系の消失に近づいてしまいます。

生態系に含まれる環境や動植物、つまり「」が多ければ多いほど、失われる可能性が少ない豊かな生態系と言えます。

これが2つめの「種の多様性」になります。
種の多様性とは文字通りたくさんの種類が存在するということで、動物・植物から細菌や微生物に至る全てを「」と分類します。
これらの種が多いことは、より様々な環境に適応し、より様々な特徴を持つ生き物がいることを示し、これは生態系の中での共生関係が多岐に渡ることを意味します。
種が多い生態系ほど環境が豊かであり、そこに暮らす全ての生き物の生活が豊かであると言えるのです。

しかし種が多い生態系が良い、と一言に言っても、ここ数年問題となっている外来生物の繁栄は除きます。
何億年、何万年と時間をかけて育まれたその土地固有の種と生態系が豊かであること、外来生物の種数を除いた生物の数が多くなければ意味がありません。

また種の多様性とは単に種類というだけではなく、私たち人間が一人一人顔や身体的特徴が異なるような同一の種の中にも個性が多く存在することも多様性になります。
そしてこの種の多様性は3つ目の「遺伝子の多様性」につながりますが、これは次回の記事でご紹介していきます。

そんな「生態系」「」の多様性の中には私たち人間も含まれており、食べ物や環境を通じて様々な恩恵を受けています。
代表的な例として医療をあげると、私たちが怪我や病気にかかった時に飲む薬。
これらの素材の約半数は自然由来のものであり、もちろん人工栽培の研究も進んでいますが、野生の動植物の方が成分としてより有効とされているそうです。
しかしこのような理由で野生の動植物を収穫していけば、いずれは絶滅してしまいます。
これは生態系にとっても、そこに含まれる人間にとっても大きな損失になります。
そのために人間もただ恩恵を受けるだけでなく、受けたものを恩を返す生態系の関係に今一度目を向け、責任を持つことが大切なのです。